繊維の黄変とは、繊維が黄色に変色する事を言います。原因はさまざまですが、代表的なものは、「皮脂」や「汗」「脂肪」が衣類の脇の下や襟周りに付着したまま放置した場合に、空気中の酸素により酸化し黄色に変色します。
他に、窒素酸化物（NOxガス）とビニール素材やプラスチック素材に含まれている酸化防止剤が反応して黄変が発生することもあります。

黄変は、ナイロンだけではなく、綿、絹、ウールなどの天然繊維、スパンデックスなどの合成繊維を含むあらゆる種類の繊維製品で起こり得ます。
また、混紡糸、混紡品の場合には混紡した繊維の一部、または全部が黄変することもあります。
このページではナイロンの代表的な黄変のメカニズムについて、以下、a〜cに記述いたしましたのでご覧ください。

a.皮脂や汗の酸化

皮脂や汗が付いたまま放置しておくと、空気中の酸素により酸化し黄変する。特に衿・脇下・袖口で発生しやすい。

b.日光（紫外線）による酸化

光（紫外線）を長時間浴びると、ナイロン繊維が酸化され黄変する。光が当たる箇所で発生する。

c.NOxガス（窒素酸化物）との反応

高温でものが燃えるときに発生する窒素の酸化物の総称で、大気中ではNO、NO₂、N₂O、N₂O₃などが存在する。NOxガス（窒素酸化物ガス）が酸化防止剤の1種であるBHT（ジブチルヒドロキシトルエン）に反応する事より黄変する。BHTはビニール袋、プラスチック製品、ゴム製品、機械油、接着剤、ウレタンフォーム等に使用される。
包装材の劣化を防ぐため使用されることがあり、昇華現象により繊維に付着し、NOxガスとの反応で黄変物質に変化する。つまり包装材に接触している箇所に黄変が発生する。
これと同じ原理で黄変する事象として、木材に含まれるリグニンが分解して生成した天然フェノール類であるバニリンも段ボールや紙に含まれているため、昇華現象により繊維に付着し、NOxガスとの反応で黄変物質に変化する。